アカバナー通信

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS キジバト

<<   作成日時 : 2008/05/13 19:58   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像 台風の風が、珍客を連れて来たことがある。もう4、5年になるだろうか。駐車場にハトがうずくまっている。おやおや、風にあおられて、翼でも痛めたのだろうか。近づいても、飛び立つことが出来ず、走って逃げ回るのだ。

 何とか捕獲したのだが、さてさて、外見上翼の状態は、これといった変化はなかった。これも何かの縁である。行きつけの動物病院へ運び、診察してもらった。

 いろいろ診察してもらったが、翼は大丈夫だった。風であおられたのは間違いないのだが、やっと成鳥になったばかりの個体で、ひょっとして巣立ち直前だったのではないか、という。ケガで飛べないのではなく、まだ飛ぶ訓練が十分でない状態だったのだ。

 言われてみると、確かに小振りである。外見はまったく成鳥だが、少々小さめなのだ。ひょっとして、最初の飛行が、台風の余波の風にあおられて、うまくいかなかったのだろうか。もしそうならば、飛んで逃げずに、私に捕獲されてしまったのも理解できる。

 さて、獣医師の説明で、私はこれが、キジバトという捕獲や飼育が禁止されている保護鳥だということを、初めて知った。実は、ハトのことなど何も知らなかったのだ。そう言えば、本土の神社や公園などで見かける、灰色のハトとは違っている。輝くような焦げ茶色の、何とも気品のある色合いなのだ。なお、そのよく見かけるハトは、ドバトというらしい。

 それで、調書のようなものを取られた。捕獲した場所や時間などを聞かれた。県への報告のためだと言う。それを書類に記録しながら、飛び立てるようになるまで、一時的に飼育することは認められるが、これをペットにすることは出来ない旨を告げられた。少々残念だった。実は、飼いたかったのである。

 飼育上の注意をいろいろ説明され、さらに、2、3日で飛び立てるようになるだろうから、自然に帰すようにと言われ、エサも購入。持ち帰り、ベランダで飼育し始めた。環境の激変で食欲もわかないのだろうか、エサや水もいっこうに減らない。だが、夕方近くになって、カーテンの陰からそっとのぞいたら、エサが少なくなっている。「うん、大丈夫だ」とほっとした。

 さて、翌日から、医者の指示通り、ふたを開けたままにして様子を見た。キョロキョロするばかりで、いっこうに飛び立つ様子はない。やはり、飛ぶことにまだ慣れていないようだった。

 ところが、昼頃である。カーテンの陰からのぞくと、何と、ハトがカゴの外に出ているのだ。おや、と思って見ていると、ベランダの手すりにひょいと飛び乗った。そして、5メートルほど先の電線へと、飛び去ったのだ。その電線に、さて10分ほども止まっていただろうか、ハトは飛び立って、今度こそ視界から消えていった。

 何となく、頑張れよと、声をかけてしまう。むろんハトに届くはずもないのだが、わずかな時間とは言え、触れ合えたことで情がわく。不思議なもので、その後、クックルールーと鳴く声を聞くと、思わず姿を探してしまう。ハトに対して敏感になっているのだ。それまでは、ドバトとキジバトの区別すらも知らなかったのに、我ながら何とも現金なものだ。

 ところで、私が住んでいる地域(那覇市大道)だけのことかも知れないが、見かけるハトは皆キジバトである。ドバトとキジバトと、何か住み分けの法則でもあるのだろうか。それとも、私の観察がまだ不十分なためだろうか。これは、もう少し観察を続けて、結論を出したいと思う。

 八重山にいた頃、歴史好きの同僚に、八重山の御嶽(ウタキ)を案内してもらっていた時、キンバトという何とも美しいハトを教えられたことがある。美しい金属光沢の緑色、あの時の感動は一生忘れられないだろう。カンムリワシだけにこだわることはない。あの美しい鳥を、なぜ紹介しないのだろうか。

 もっとも、下手に紹介して、無法な捕獲者が入り込んで来て乱獲し、八重山から居なくなっても困る。ペットブームというのも、何とも困ったものである。テレビなどで万一にも紹介されたら、それこそあっという間に捕り尽くされてしまうだろう。

 生活が豊かになることも、ある意味で困った問題を生み出してしまうものだ。誰も飼っていない、そんな珍しい高価なペットを求める人が増え、またそんな需要に応えようと、オランウータンのような絶滅危惧種をすら密輸する悪徳業者が、暗躍したりするのだから。誰もが生活にきゅうきゅうとしていた頃には、とても考えられないことである。

 考えてみると、ごくごく身近にいるハトについてさえ、私の知識は極めて貧しく、50年余の人生を生きて来てさえ、何の観察もしていないのだ。人間というものは、何と多くの無知を抱えて生きていることだろうか。不思議なことである。例えば、私は、妻や子供達のことを、あるいは友人達のことを、どれだけ知っているだろうか。むむむ、ハトは、とても大きな宿題を残して、巣立っていったのかも知れない。






設定テーマ

注目テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文