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help リーダーに追加 RSS 驚くべき金銭感覚 - 莫大な軍用地料のもたらすもの

<<   作成日時 : 2008/07/05 19:42   >>

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画像 昨日の夕刊に、少々信じ難い記事が載っていた。軍用地の地主会の、会長副会長による、軍用地料2億3千万円もの流用が発覚したのだ。何だこれは、というのが、最初の印象だった。なぜ地主会が、2億3千万もの金を持っているのか、理由が分からなかったからである。

 軍用地地主会とは、軍用地収入がある人々により組織される、いわば連絡会のごときものではないのか。例えば、その軍用地料の中から、せいぜい数千〜1万円ほど会費を払って、地主会としての連絡活動の資金とする、程度のことではないのか。なぜ、2億3千万円もの金が動かせたのか、最初に浮んだのがこの疑問だった。

 記事を詳しく読んでみると、「拠出先となった特別会計は同会共有の土地収入などの基金。当時、口座には『3億円くらいあった』(宮平会長)」という記述がある。成る程、共有の土地収入ということは、例えば入会地のような、その地域の人々の共有財産として登記されていた土地、ということだろうか。それが、浦添市の市有地でもなく、国有地でもないから、〈同会共有の土地収入〉ということになるのだろう。なお、そのような土地所有の形式があるのか、法律的なレベルのことは知らない。詳しい方がありましたら、どうかご教示を。

【 浦添・小湾地主会 軍用地料2億3千万円流用
   ー 正副会長ら監査偽造 ー

 [浦添]米軍キャンプ・キンザーの軍用地主で構成する浦添市の字小湾共有地地主会(宮平忠一会長、会員数526人)で2001年4月、宮平会長と当時の宮城安次郎副会長が、福岡県でゴルフ場社長を務めていた比嘉実氏(現トロピカルテクノセンター=TTC=社長)から融資を頼まれ、同会特別会計から無断で軍用地料2億3千万円を不正流用していたことが4日までに分かった。その後、当該ゴルフ場が民事再生法を申請したため、回収不能になった。現在までに比嘉氏から7千万円の返済があったものの、残金の1億6千万円は弁済されていない。宮平会長らは6月22日の臨時総会で問題を公にするまで、監査委員を説得して虚偽の監査報告書を作成するなど事実を隠していた。(後略)】(『沖縄タイムス』7月4日 夕刊1面より)

 不労所得という言葉がある。勤労所得に対する言葉で、働くことなく得られる所得、例えば預金金利や株式配当の類いである。軍用地料も、まさしくそんな不労所得であろう。そこに、大きな落とし穴がある、と言うべきだ。勤労によらず、座して入ってくる所得などというのは、それがある限度を超えると、たぶん人間を腐敗させるのだ。

 私が、そんなことを考えたのは、高校時代のあるエピソードが発端だった。伊江島は、島の6割ほどが米軍に接収されている。そのために、軍用地料収入が、島の経済を支える最も大きな柱である。昭和40年頃の話なのだが、当時1万ドルという金は、家が1軒建つほどの金額だった。伊江島で、その軍用地料1万ドルを、一晩の賭博ですってしまった男がいる、という話だった。何とも信じ難い話だった。

 成る程、不労所得なるものは、その額がある限度を超えると、人間の金銭感覚を狂わせるのだ、と思った。毎年、家が1軒建つような金が、何の苦労もなく手に入るようになれば、まともに仕事をする気も失せよう。庶民のちまちました生活など、馬鹿らしく見えるようになるのだろう。

 だが、悲劇は始まったばかりだった。その男、賭博や遊びに狂い、軍用地の切り売りに走り、ついには無一文になったそうである。過剰に過ぎる肥料は、植物を枯らしてしまうという。過剰な収入があることで、人生を狂わされ、自ら亡んでしまうこともあるのだ。

 また、これは妻の同僚の話である。その女性は、やはり教員なのだが、莫大な軍用地収入があり、働く必要などまったくない人だった。なぜ働いていたのか。妻は、姑との折り合いが悪く、家に居たくないのではなどと言っていたが、よくは分からない。その女性が、ある時、「うちの猫は、マグロのトロしか食べないのよ」と言い放ったのだそうだ。

 自慢じゃないが、私はトロなど食べたことはない。スーパーで購入するのは、「シビグヮー」と呼ばれる、40キロ以下のマグロで、漁船に乗っていた男の話では、市場価値がぐっと下がる物なのだそうだ。本マグロのトロなど、たまにスーパーに並ぶと、「これか」と値段を確認するだけで、残念ながら購入したことはない。どんなに安くても、シビグヮーの軽く4、5倍するからだ。

 まあ、金があって猫にトロをあげるのは、個人の自由である。だが、そんなことを平然と人前で話すような人間が、幸福な人生を送っているとは、残念ながら思えない。私の勘ぐりかも知れないが、「うちでは猫ですらトロですの」と自慢せねばおれないことは、たぶん、耐え難い日常生活の代償的行為であろうから。ひょとして、そんな莫大な軍用地料のあることが、夫や姑の人格を狂わせ、とんでもない地獄を家庭内に抱えているのだろうか。いずれにせよ、そんなことを公言するのが、まともな感覚でないことだけは確かである。

 軍用地料収入が、生活費を補う程度のささやかなものである家庭では、むろん何の問題も起こるまい。だが、それが年収の数倍ともなるような家庭では、よほど本人たちが自覚的でない限り、たぶん同様の悲劇が繰り返されていることだろう。残念ながら、人間というのは、弱い存在なのだ。そう書いている私自身、例えば宝くじのような思いがけない幸運で、莫大な金額を手にすることがあった場合、果たして正常でいられるかどうか、とても自信など無い。

 いずれにせよ、不労所得として、毎年何の苦労もなく金が入ってくるという状況が、しかもそれが地主会という組織の金であることが、このような不正流用を招いたであろうことは、何となく想像できる。526人の会員が、額に汗して稼いだ金だったとしたら、悪意を持っていない限り、こんないい加減な融資など絶対に行えないはずだからだ。そんな悪意ある人間なら、正直に告白などしないし、とっくに逃げ出し、行方をくらませているだろう。正直に告白し、一生弁済の義務を負うと言うのだから、彼等はそういう人間ではない。としたら、これも、不労所得というお金の形態が招いた、ゆがんだ金銭感覚ゆえの失態なのでは、と私は考えている。

 さて、基地のもたらす被害にも、様々なものがある。このような、金銭感覚の異常な歪み、そのゆえの人生における不如意、極端な場合は破滅も、また、一種の基地被害である。ほとんどの場合、このようなことが、基地被害として取り上げられることもないだろうが。

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